最近の中学生はロングトーンをしない。
学校調律をしていて昼越しに仕事をしていると、給食を終えた子供達が音楽準備室にチラホラ集まってくるが、２〜３分プカプカ音を出したかと思うと、数人でメソッドを始める。
「違うだろ！まずはローングトーンだろう！」
とおじさんの年齢に達したabe-pianoは叫びたくなる。

缶コーラから飲んでから病気になる

abe-pianoが中学生だった頃は、まず朝７時に学校へ行って１時間ローングトーン。給食が終わったら誰よりも早く音楽室へ行ってロングトーン。放課後隣の先輩が３０分ロングトーンをしたら、負けたくないので４０分ロングトーン。楽器は家に持ち帰り、夜中の１時まで勉強しても５時には自転車で田圃の広がる地帯まで行ってロングトーン。

ロングトーンをしながら考える。
どうしたら良い音がだせるだろうか？しかし、良い音ってわからないから、良い音ってなんだろう？と考える。考えるうちに、自然の秩序、宇宙や神様のことまで想像を巡らせて、自分の生まれて来た意味や存在理由まで考える。自分はナニモノなのだ？と考えるのがロングトーンの効果である。

四半世紀のうちにロングトーンという基礎練習が否定されたのだろうか？
悲しいことである。
確かに、ある程度吹ける様になったらあまり意味のある練習方法ではないかも知れない。
abe-pianoもウォーミングアップは２オクターブの半音スケールだ。出来るだけ早く上行下行を繰り返し、音域を２オクターブ半から３オクターブに広げる。
１０分も吹いていると、カメラのピントが合ったように鳴るポイントをピタッと維持出来るようになる。

でも初心者のうちは、何が何でもロングトーンだ！
小学生に吹奏楽が浸透したのがいけない。あんな小さな子供達に基礎練習の厳しさや大切さを教えるのが難しい。

abe-pianoが調律をやっているのはロングトーンの延長だ。そして「自分はナニモノなのだ？」と考える。モチベーションを維持できる最大の理由だ。