2012年2月4日土曜日

犬の首輪とコロッケと 公式ブログ

芸人・長原成樹が自ら監督に名乗りを上げ、自伝小説を映画化した『犬の首輪とコロッケと』。大阪・生野区を舞台に"しょーもない"不良からお笑い芸人へと変わっていく長原の半生を描いた本作は、自身を育ててくれた町への感謝の気持ちも込められた感動作です。1月17日(火)には、1月28日(土)からの全国ロードショーに先駆けて大阪プレミアムイベントが行われ、その舞台挨拶には、監督・長原成樹とセイキ役を務めた鎌苅健太さんのほか、スペシャルゲストとして主題歌『夢の町』を歌った木村充揮さんも登場しました。

まず、映画化されるあたって一番嬉しかったことは?、

長原成樹(以下、長原)「作品として残ることが嬉しい。映画になってめちゃ気持ちいいです。これが全国で公開されるのはものすごいありがたい話です」

そしてセイキを演じた鎌苅さんにも、目の前に長原監督本人がいて、どうでしたか?

鎌苅健太(以下、鎌苅)「プレッシャーでした。誰よりもセイキのことをわかっていますし、思い入れもある。それも当たり前のことで。自分ができるところまでやりたい。でも、セイキさんが"こう見せたい"というところまで行かなければというプレッシャーがありました」

監督から特別な演技指導はあったのでしょうか?

鎌苅「もちろん台本はあるんですが、生きてきたこととか、ここはこういう気持ちだということを耳元で言ってもらえて。それは成樹さんがプレイヤーでもあるからこそ、僕らの気持ちをわかってくれて。そういうことを僕以外の役者陣と今も話しています」

セイキはどんな人物だと思いますか?

鎌苅「ぶれない、ぶっ飛んだ人だと思います。僕はどっちかというとビビリなので、何かにぶち当たったときにぶれちゃうこともあるんですが、成樹さんはほんまにずっと長原成樹!という感じですごいなと思います。あと、愛があふれています」

現場の雰囲気はどんな感じだったんでしょうか?

長原「みんな温かく迎えてくれて、快く場所を貸してくれて。"成樹の映画やったら場所を貸したるよ!"って言ってくれる人ばっかりでした」

鎌苅「後輩さんとか、仲間の方が駆けつけてくれて、差し入れとかいっぱいくださって」

長原「撮影は9日だったんですが、その間に差し入れのコロッケも全員で500個ぐらいは食ったな。毎日コロッケが100個近くやってくるんですよ」

そんな撮影はどうでしたか?

長原「ちょうど去年の今日、1月17日にクランクインやったんですけど、朝から朝まで撮影で。それが9日間続いても、全然眠くなかったんです。楽しかったんですよ。こんなことが2年ぐらい続いたらええなと思って、それぐらい楽しかったです」

撮影で苦労した点は?

長原「オールロケで寒かったことです。あと、子役がいっぱい出てくるんですけど、子役が一番頑張ってたかな。真冬に夏のシーンを撮るので、子役はランニングに半ズボン。"張り切って行け!"言うてましたが、子役にはものすごく悪いことしたなと思いましたね」

「セイキを演じるにあたって、一番難しかった点は?」

鎌苅「原作を読ませてもらって、めっちゃ面白いと思って。で、こんな人生があるのかと思って。(セイキ役を)やらせてもらって、めっちゃいろんなことを考えました。原作も読んだし、台本を読んでも、それでも"このシーンは俺やったらこう考えてたけど、成樹さんやったらこう考えてたんや"ということが現場、現場であって。自分の中でこうかな?と思ったことを何となく作っていっても全然、違っていたり。やっぱり成樹さんの正解があるから、それに対応していくことが難しくもあり、でも"こういうことはもしかしたら役者として一生ないのかもしれないな"と思いながらもがいていました」

特に観てほしいシーン、エピソードは?

鎌苅「お父さんとのシーンですね。お父さん役は山口智充さんで。ちょっとやんちゃをして少年院に入ったセイキが、その後にお父さんと会うんですけど、お父さんがちょっと老けたように見えて"ごめんな、お父ちゃん"って切ない気持ちになるという。それは成樹さんに"そのときそう思ってん"って現場で言ってもらえて、僕も"そうやな、そう思うやろうな…"って思って後にパッと山口さんを見たら、メイクとかもそんなに変えていないのに本当にどっと疲れたような、老けたように見えて、すごく切なくなって。そのシーンは成樹さんもすごく思い入れのあるシーンだとおっしゃっていました」

その山口をキャスティングした理由は?

長原「"映画撮るんやけど出てくれへんか"ってぐっさんに電話して。そしたら"わかりました"と。映画には幼少期のセイキくんと大きくなったセイキとが出てくるんですが、ぐっさんは幼少期のセイキのお父さん役かなと思っていたんですけど、どっちもやってもらうことにして。ぐっさんも原作のファンなので、すごく喜んでくれました。でもほんまに映画になるとなったとき、すぐにぐっさんの顔が浮かんだので、それでお願いしました。本当に僕のお父ちゃんはあんな感じでしたね」

本作にはほかに、よしもとの芸人では今田耕司も出演しています。今田をキャスティングした理由は?

長原「人気もんやから(笑)。今田も原作の大ファンで。2008年3月3日にこの本を出したんですよ。そして5日に今田に渡したんですけど、7日にメールが来て"すごくいいです"と。"もし映画にするなら、僕に撮らせてください"と言うてくれて。で、実際、俺が撮るとなったんですけど、"大事なシーンがあるから、ここはお前しかおらへんねん"って直接、電話して。そしてクランクインの初日に今田が出てくれました。そのシーンでは『犬の首輪とコロッケと』というタイトルのことが"ああ、なるほどな"とわかると思います」

主題歌『夢の町』はどのような経緯で?

長原「大阪・生野区で撮る。そして生野区出身の人間が監督をする。そしたら主題歌も生野区出身のミュージシャンにお願いしようということで、木村充揮さんに直接、お願いして、快く引き受けてくれました。そして自分の思いを伝えて、よろしくお願いしますと。そしたら力を貸してくれました。大変いい歌です」

ここで木村充揮さんが舞台に登場。主題歌を作るまでの経緯を聞きました。

木村「"生野の映画を撮ってるんですけど"というラブコールがありました。"僕でよかったらできることはトライしますわ"言うて」

映画の主題歌はどのような思いで作ったのでしょうか?

木村「思うことを何でもいいから書いてくださいと言って、書いてもらって。本も読ませてもらって、その中で好きにやらせてもらいました。どうかなと思っていたんですけど、"ええわ~"言うて」

主題歌は監督のイメージどおりですか?

長原「本当にすばらしい曲です。レコーディングにも立ち会うことができて、もうすごかったですよ。めちゃめちゃカッコイイです」

その後、木村充揮さんによる主題歌『夢の町』の生演奏が披露され、鎌苅さんは「もう、言葉がないですね…」と感無量の様子。長原も「ありがたいです、本当に。生で聞くのはレコーディング以来なので、10ヶ月ぶりでした。本当に嬉しいです」としみじみ、語っていました。

そして最後に、作品を楽しみにしている方へのメッセージをもらいました。

鎌苅「自分が役者をやっていく中で、この作品と成樹さん、周りの皆さんたちと、皆に会えてよかったなと思っている作品です。成樹さんは波乱万丈の人生を歩まれていますけど、そん中ですごく大きな愛、お父さん、お母さん、友達、仲間、彼女、周りにいる皆への愛が詰まっている。今、顔とか会わせなくても過ごしていける中で、この作品ではちゃんと顔と顔を会わせて、ちゃんと本音でしゃべりあっていて、すごく温かくなれる作品です。"セイキは頑張ってるな"とか、いろんな登場人物の気持ちになれる作品です。今、いろんな思いとかあると思いますけど、ぜひ観てもらって、温かくなってもらって、次の日からまた毎日を過ごしてもらいたいと思います」

長原「85分の上映時間の中にいろんなものが詰まっています。僕は、これは正しい恋愛映画だと思って撮りました。親子愛とか、仲間となんぞや?とか、そして彼女との恋とか、そういういろんなものが詰まった恋愛映画だと思っています。そしてこの映画を観て、"成樹もあんなんやったら、俺ももっと頑張れるやん"と皆さんがちょっとでも前を向いて、また仕事とか、学校とか行ってくれたら嬉しい次第です。僕の力は全部使って撮ったつもりなので、皆さん、また応援してください。よろしくお願いします」

地元大阪での舞台挨拶に、会場もとっても盛り上がりました!

お出でいただいたみなさま、ありがとうございました!!

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